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TEFL Course 私は学校のビジネスコースに所属していましたが、文化言語学科のTEFLコースをクロスクレジットで取りました。これは、経済学部の生徒が、教職をとって、それを卒業単位と変換できるのと同じと考えてください。 TEFLコースを取るにあたって、Native English Speakersは、特にテストは必要ありませんが、Non Native English Speakersの場合は、特定の条件が課されていました。 そのうちの1つが、TEFLコースの前に、Linguistics(言語学)を必修として取るということでした(他にも、いくつかPre-requisitionがあります)。これは必修でなくても取りたかったレクチャーでしたが、とても興味深い授業でした。内容については後で述べますが、まずこの言語学で1学期、TEFL1で1学期、ひたすら教育実習が続くAdvanced TEFLで1学期と、全て終了するのに約1年かかりました。 但し、私の場合は、メインはビジネスコースで、他の授業と平行して教職という形で取り、これに関する授業は週に2.3回あっただけなので、これだけかかりましたが、急いで資格を取りたいKIWIには、これだけを毎日1日中して、3ヶ月で同じ資格を取れる同じコースもありました。 自分の英語の実力を考えたとき、私はこの1年間のコースでよかったとおもいます…とてもじゃないですが、教育実習のための、3-4枚にも及ぶ授業プランを、毎日提出するのは無理だったと思います(授業のマテリアルも全て自分で用意する必要があり、週1回でも大変でした)。 以下に、TEFLを取るまでに、私が受けた授業すべてとその感想を述べていきたいと思います。 1学期目 Linguistics これは非常に興味深かったですねー 私たちのような、英語を母国語としない人のための英語文法だけでなく、ネイティブスピーカー達が言語学として分析する英語ってこういうのか、と思いました。 日本語でいうなら、私たちが習う言葉のきまり(形容詞だの副詞だの助動詞だの)とか、日本語学者とかがやってることかな、と。 まず、言語とはどんなものか、という概論と、それに続き4つの分野に分けての講義だったので、それぞれかいつまんで、興味深かった点を説明したいと思います。 (もうさすがに忘れてることもあるので、教科書を引っ張り出してきて、ちょっと懐かしくなってます…) @Phonetics & Phonology (音声学) Phonetics 音声学、の言葉どおり、発音、スピーチ、音としての英語に関する分野です。発音記号にクラスメイトのKiwiが四苦八苦したのもここ。 但し、ここでは英語を習うときのように、記号を見て、その音を読むだけでなく、1つ1つの音を分析して理解していきます。 まず子音。例えば、音をせき止めることで発音される音=P,b,t,dなどは"stops"、音を摩擦させることで出される音=s,z,f,v等は"fricatives",というようにわけ、更に同じStopsでも、唇で音をストップするものはLabials, のどの奥で音を止めるものはVelar,と分類していき、最後は無声音=p,t等と、有声音=d,g等というようにわけます。 そうして p=voiceless labial stop (無声で唇でだす停止音) v=voiced labio-dental fricatives(有声で唇と歯で出す擦過音) というように、全ての音を分類していきます。 母音は、音に対応する舌の位置と唇の形を、正確に図の上で覚えていきます。 すなわち、母音とは、完全に口の中で、舌がどこにもつかないで出す音であり、舌の位置と唇の形以外だけが、その音の違いをきめるのです。(こんなの、あたりまえだと思います?) これらは、かなり自分の発音の勉強として有益だったなーと思いますし、発音を向上させたい多くの英語学習者にも有効だと思います。つまり、この練習は、日本人の頭の中で、切っても切れない子音と母音の腐れ縁を断ち切る論理的な力をもっていると思うのです。全部分類して暗記すると、頭の中で、はっきりと音の違いと口の形というものが関連付けられます。 英語発音上の、ストレスとタイミングとリズムということについても同時に学びます。 さらにPhonologyでは、全ての単語をphonemeという最小の単位としてわけ、今度は単語として、母音(nucleus)の前にある音(onset)、後にある音(coda)として分類します。例えば、bedだったら、b=onset, e=nucleus, d=codaとなります。 その中で、母音で終わるもの(cadaがないもの)はopen syllabusと呼ばれ(me, to等)、子音で終わるものは反対にclosed syllabusとなります。 最小の音の単位が例えば同じkであっても、kateとcapのkの音声学的な違いとか、2つの音がくっついた場合の音の変化などもここで学びます。 AMorphology(形態学=言葉の成り立ち) これは、単語1つ1つの形態を分析していく学問です。音声学でphonemeにあたる、意味上の最小の単位が、ここではmorphemeと呼ばれます。 例えば、truthならmorphemeは1つですが、un-truth-ful-lyなら4つ。この中で、truthだけが、独立で使えるfree morphemeとなり、何かにくっついていないと使えないunとかlyとかは、bound morphemesとなる。日本語の、動詞と助動詞や、接頭語接尾語の関係と同じですね。 さらにboy-boysとかsmart-smarterのように単に単語に文法的な意味を添えるinflectionalsと、単語の品詞や意味をまったく変えてしまうil-legal-lyのilとlyのようなderivationalにわけられます。 これは、頭で考えればわかることで、文法に根ざしたものだから、日本人は特に問題なく理解できるものだと思います。 このほか、単語の成り立ちに関わる学問は、このMorphologyに含まれます。 BSemantics(意味学、うーん、うまく訳せない) 意味に関する学問。ちゃんとした教育を受けた人間は、10万語の言葉を使い分けているそうです。 例えば、コノテイション。日本語で食べた、と食った、だったら、まったく同じ動作を意味するのに、意味が違いますよね。その差に、フォーマルとインフォーマルという、言外の意味が含まれてるわけです。 独身女と独身男の場合、どちらも"結婚していない"男か女、という意味だけなのに、独身男(Bachelor)のほうは好意的で、普通に使っても平気なのに、独身女spinsterのほうは、同じに使ったら失礼な感じになるのは何故でしょう? ここにも、言葉の意味以上の違いが存在するということになります。 他にも抽象と具体、とか"花"と"チューリップ"の違いとか、同音意義語、異口同音語、比喩、歴史的な言葉の意味の違い等、言葉の意味に関することは、このSemanticsの中で学びます。 CSynyax(文章構成法) フレーズやセンテンスの構成に関するものがSyntaxになります。すなわち、これが一番私たちの習う"英文法"に近く、自動詞他動詞、直接/間接目的語、関係節、なんていう言葉も(もちろん英語で)出てきます。 私たちが習うものとはアプローチが違うので、面白いですが、1つ1つのことはだいたい知ってるなーという感じ。 以上の言語学が、まず、ノンネイティブスピーカーがTEFLを取るにあたっての、必修科目とされていましたが、これはおそらく、ネイティブスピーカーにも必修である必要があると思われます。部分的には、(発音記号とか、文法とか)については、Kiwiより私たちノンネイティブスピーカーのほうが、すでにずっと知ってるパートもありましたから… 2学期目 TEFL Introduction そうして、やっとTEFLコースになります。今度は生徒に教えるような具体的な受動態だの完了形だのという授業とあわせて、やっと教職らしい、授業の構成の話になります。 まず、たいていの語学学校での授業は1時間弱程度なので、それにあわせた授業プランの立て方など。 これは非常に具体的な指導案で、まず生徒の関心を授業に向けさせるために興味深そうな話題からはじめる導入(lead-in)が5分前後、続いて今日授業で使うボキャブラリーをやはり5分程度、そしてはじめて今日のテーマとなる文法の入ったダイヤログやリスニング、リーディングなどのマテリアルを使用し、そこから文法と簡単な練習問題、応用問題、最後にそれを使った生徒同士の会話等の発展まで持っていくという形で、おそらく語学学校に行ったことのある人なら、無意識に多分覚えのあるような授業進行です。 日本で大学生の時の教育実習でも、毎回の指導案作成が面倒でしかたがなかったけど、今回もそれは同じで(もちろん英語だし)、これに最後まで悩まされ続けました。 同時に教職らしく、どんな授業が生徒を引きつけ、よりよく理解させるかという理論や、まったく英語理解しないビギナーの生徒には、身振り手振りでなんとしてでもわからせなければならないことなど、非常に実践的なことも習っていきます。 おもしろかったのは、たまたま私たちの先生は、何とかという(名前忘れました…)アフリカの言葉を話せる人で、それを使って、同じように模擬授業をしてくれたこと。 ビギナーにとって、英語で英語を学ぶというのは、その何とか、というアフリカ語を使って、その言語を習うのと同じなんだよ、ということを教えてくれたこと。 身振り手振りで、 「んだばんだば ria」 と先生が言うと、あ〜いま「私はriaです」みたいなことをいったんだな〜とわかって、それを真似していってみる。 「んだば んだば ほにゃほにゃ」 といって、本を開く動作をするから、あー今教科書開けっていったのかな? みたいな。 当然、それ以外、言ってることは1つもわからないわけです。英語で英語を教える難しさを、ネイティブスピーカーにわからせるのに役立つようでした。(私たちノンネイティブスピーカーは、すでにそういう英語の時期を通って、今の英語力に至っているわけなので、そのことはわかっているんですけどね) 講義の後半に、実際生徒にやるように、クラス全員の前での模擬授業をやり、実際の教育実習に備えます。でも、私は、この模擬授業が一番きつかったかも…なんといっても、全員ネイティブスピーカーの前で単語の説明したり、英語の授業やるわけですからね…仕方ないんだけど赤面ものでした。 3学期目 TEFL Advance そして、ついに3ヶ月続く地獄の教育実習にたどり着きます。 これは、実際の生徒(学校が、教職の訓練用として、無料で生徒を集めている。生徒としても、タダで英語の授業が受けられるので、けっこう人は集まる)を相手に、3ヵ月間毎週続きます。 週に2回クラスがありましたが、全員が6人ずつの班にわけられ、そのうち一回は自分が授業し、もう一回はクラスメイトの授業の見学です。(つまり、1日に3人が1時間ずつ授業するので、私たちの授業を受けに来ている生徒は1日3時間近い授業をタダでうけられる)。 約20人のクラスはほとんどがネイティブスピーカーでしたが、私のほかに、韓国人が1人、台湾人が1人(はじめは2人だったけど、1人ドロップアウトした)の3人だけが、英語を母国語としない生徒でした。 彼らも、私より英会話は得意だったので(韓国人のほうの彼は、多分高校からNZに来ていた)教育実習では私が一番苦労したかも。 50分の授業の中で、先学期のTEFL introductionで習ったとおり、導入からボキャブラリー、文法、練習、応用練習、となるように具体的な授業プランを分きざみで作り、そのための教材も全て自分で手作り。どこかの教科書から持ってきたり、写真を切り抜いたり、リスニングテープを作ったりもします。 毎週全員が少しずつ違ったテーマ、例えば"受動態"とか"リスニング中心""リーディング中心""過去形"等テーマを与えられ、それにそった授業を展開します。 順番で、初級、中級、上級のクラスを受け持ちますが、上級クラスになると、まあ"私とあまり変わらないんじゃ…"と思うくらい話せる子がいたり、今度は初級クラスでは、数字すらまともに知らない人もいたりして。 初級に多かった中国人移民(ほとんど30か40歳以上)の場合、まさにアフリカ語をその言語で習おうとしているのと同じように、英語の説明が一切通じません。 「隣の人と話し合ってみて」 といってもジェスチャーでしなければほんとに通じないし、"crazy"という単語1つ説明するのにも四苦八苦。これ以上言いかえができない、というレベルの簡単な単語すら知らないから、こうなると身振り手振りで幼稚園の先生みたいにもなります。 基本的に、目で見せられるもの、ジェスチャーできるものはいいけど、概念的な言葉や"crazy"みたいのは、ほんとに連想ゲームのようにしなければ伝えられないのです。 たいてい生徒は5人〜多くて8人くらいだけど、タダの授業だから当然サボる生徒も多く、1度2人とか相手に授業をすることになったクラスメイトもいました。 教室の後ろでは、私たちの指導教官と、その他のクラスメイトが全員座って、授業のよかった点、悪かった点などずっと書いていきます。自分がそうやって採点されるのも緊張するけど、私はそれより、人の授業の感想を、そうやって書き続けなければならないほうがつらかったかな。 よほど特徴のある授業ならともかく、たいていは"非常にいい導入で生徒の関心をすぐにつかんだ"とか"はっきりとした発音で、生徒に非常にわかりやすかったようだ"とかさすがにこれだけ授業をこなしていくと、書くことがなくなってくるのに、自分以外の班の5人の感想を、見学しながら書き続けなければならないからです。(知ってる英語表現がつきる) そして、そのあとは6人+担当教官の先生で、それぞれの授業のどこがよかったか、悪かったか反省会のディスカッション。 この3ヶ月は、いつも時間に追われるプレッシャーを感じてました。週に一度とはいえ、自分の発表が終わっても、すぐに次の週の準備を始めないと間に合わないからです。 初級クラス担当のときに「受動態」にあたったことがありましたが、"crazy"という単語すら知らない生徒相手に、どういう導入をして受動態をわからせればいいのか考えるのにも時間がかかり、そして、いろいろなテキストから例文や練習問題を抜粋してきて、それにあったプリントも自分で作成しなければなりませんし、クラスメイトのKiwiに手伝ってもらってリスニングテープを作り、それから3枚程度の指導案を作って、更に私の場合、どうやって授業をしていくのか、プレゼン的な練習も必要でした。 1時間の実習=1時間自分が話し続けなければならないプレゼンテーション と同じことなわけですし、生徒達はタダとはいえ、わざわざ私たちの授業を習いに来てくれている一般人なのですから、真っ白になって何も話せない、ではすまされないのです。 "じゃ、今説明した文法を使って、隣の人と、先週末何をしたか話してみて。2分ね!" こんなことだって、6人の生徒たちと、その後ろの自分のクラスメイト5人と教官が見守る中では、真っ白になって言葉が出ないことも考えられるので、私は必ず指導案にそって、話す可能性のありそうなセリフは予め想定しておきました。 それでも、考えてもいなかったような質問がいくつも出て思わず言葉につまることや、生徒が何言っているのかまったくわからないこと(特にビギナークラスの場合)もあり、実習が終わるたびに、は〜やっと終わった〜とものすごく安心して、そしてまた来週の為の準備にとりかかる…という繰り返しでした。 如何でしょう。TEFLコースについて、少しはお分かりいただけたでしょうか? こうやって書くと、かなり大変そうに聞こえるかもしれませんが、おそらくきちんきちんと1つずつ課題を仕上げていくことが得意の日本人は、なんとか努力でクリアできる程度ではあると思います(基本的な英語力はもちろん必要ですが…) 反対に、他の多くの授業を、一夜漬けやカンニングで乗り切ることの多い中国人は、ほとんどこのコースを取りませんし、とっても最初の数週間で消えてしまいました。(とにかく毎週の課題が大変だから) 私にとって、このクラスで一番素晴らしかったのは、クラスメイトが全員外国文化や、言語に興味があるネイティブスピーカーだというところ。 同じようなことに興味のある(お互い外国語を学んだり、教えたり)友達ということで、なかなかできない本当のKiwiの友達ができました。 英語を教える予定がなくても、英語学習者にとって、とても興味コースだと思います。語学学校に1年以上も通い続ける人もいますが、ある程度英語力のある、そうした予定の人は、もしその気があれば、こうしたコースに切り替えることも考えてみてもいいのではないかと思います。 |